海を渡ったアルバム

海を渡ったアルバム




海を渡ったアルバム


本日は慰霊の日。あの忌まわしい沖縄戦が終了して71年目を迎えます。

多数の住人を巻き込み日米合わせて20万人を超える尊い犠牲者の御霊和を悼む沖縄にとっては最も「大切な日」となります。

そういう日に、以前に「私の家族」が取材され

「探偵ナイトスクープ」により全国放送された

「帰って来た古いアルバム」をご紹介したいと思います。

今から8年前の2008年、番組宛に大阪在住の当時70歳の男性から一通の手紙が届きました。

きっかけは、アメリカのソルトレイク在住の娘の所に「日本人の古いアルバム」が届いたからです。

それはアメリカ人の知人からで、亡くなったアメリカ人の父の遺品を整理していたところ、

見覚えのない日本人の古いアルバムが出てきたからです。

中を覗くと、どれもその家族にとってかけがえのない貴重な写真ばかり・・・

「この貴重な写真をどうしても日本に住む家族の元に帰してあげたい。」

そういう想いから、

アメリカ人の知人から、アメリカに住む日本人の娘へ、そして大阪の父へ

とアルバムが託され、それから番組に「持ち主探し」の依頼があったという経緯となります。

さて、どの様にして持ち主を探すべきか??

手がかりは、戦争中に沖縄の病院関係で働いていたアメリカ人が沖縄から持ち帰ったという事だけ・・・・

更に写真の裏に唯一、岡山県の奥津と記されたメモしかありません、

まずはそれを頼りに奥津へと足を運ぶレポーターと依頼人の70歳の男性。写真の後方に写る山並みや海辺の風景を頼りに探し回り、

生徒らとの集合写真から、その持ち主が「沖縄から出向して来た学校の先生(私の祖父)」であった事を突きとめます。

時は昭和14年、それ以外の手がかりは岡山には全く無く、急きょ沖縄の教育庁へとその一行は飛びます。

そして沖縄の教育庁へ当たりますが、

戦前の資料はあの激しい沖縄戦で全て消失された・・・

という事で、またもや手がかりがゼロに・・・

困り果て、首をうなだれている最中に、

レポーターがアルバム内のひとつの写真の中に

その男性の息子の名前(私の父)を見つけます。

「そういえば先生の子供には先生が多い。」

そうして写真の男性(祖父)の子供である(私の父の名)を調べてもらったところ「ビンゴ!」

私の父の教員の記録から、やっとアルバムの持ち主が判明しました。

しかし、大喜びするするもつかの間、私の父はすでに他界しており、

写真にあるその父(私の祖父)も母(私の祖母)も年齢的にも既に他界。

唯一残された三男(私の叔父)の元へと、このアルバムは無事に帰る事となりました。

そういう経緯で、叔父と私の母が、その古いアルバムを受け取る事になった訳ですが、

叔父が言うには、このアルバムは、亡くなった母(私の祖母)が、事ある事に話していた貴重なアルバムだったという事。

生前の祖母曰く

「内には当時、貴重な写真がたくさんあってね。

でも沖縄戦で防空壕に避難していた際に、周りをアメリカ兵に囲まれ、

出てこないと爆弾を投下すると言われ、そのアルバムを壕に残したまま

親戚共々手を上げて出て行ったきり、そのアルバムは行方不明。

恐らくあの戦争で灰になってしまったのでしようね。もったいない、もったいない。」

と子供達に言って聞かせていたという事。

それが「63年間の時を経て」、遠いアメリカから大阪を経由して、

この小さな島の沖縄の小さな家庭に帰って来るなんて・・・・

正に「夢の様な話」です。

そう言って涙ぐむ叔父や内の母に

「よかった。よかった」

と隣で肩を震わせ泣くアルバムを届けてくれたその「素晴らしい男性」。

周りやレポーター、番組スタッフ全て涙を流していました。

今日は慰霊の日、

あの「ありったけの地獄」と表現された沖縄戦から71年、

今なお沖縄は基地から派生する犯罪など

「戦争の負の遺産」を背負わされ続けています。

一部の米軍や軍属が侵す卑劣な犯罪は断じて許す事はできませんし、

翁長県知事を筆頭に私も「人間の尊厳」をかけて強く抗議し続けます。

しかしながら、それとは別に

このアルバムが63年という長き月日を経て、まわりまわって海を渡り

アメリカ人の「良心」から日本人の「良心」によって

タスキを繋ぐように

沖縄の家族の元へ戻ってきたというこの稀有な事実は、

おこがましくも、私なりに言わせてもらえば、

かつて戦争に巻き込まれた「個人」には、

国籍を問わずに「何の罪もなく」

等しく皆、時代に翻弄された「被害者」ではなかろうか・・・

そして、今回の一件は

元来、人間が持ち合わせている

「チムグクル(優しさ)」

この様な壮大な「奇跡」を生んだのだと、今そう感じています。

そして古今東西、変わらずに人間誰しもが持つ

「人の優しさ」を証明するかの様に

山内家の仏壇には、いつもこのアルバムが飾られています。


最後に、「山内家の宝」となった「この古いアルバム」の持ち主を

必死に探し回り、大阪から岡山さらに沖縄まで足を運び、

私ども家族の元へ届けて頂いた大阪在住の「中島征治様」

アメリカ在住の娘様、娘様へお願いしたアメリカ人のお方、

また「探偵ナイトスクープ」番組に携わる全てのスタッフの皆様

この場を借りて深く御礼を申し上げます。

「誠に有難うございました。」

皆様の誠意による、この心温まる一件と

このアルバムは山内家に代々語り継がれる事でしょう。


海を渡ったアルバム




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Posted by ハウス太郎 at ◆2016年06月23日14:26
 
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